LaTeX、Word によるレポート作成 - 情報処理レジュメ(6)

1. はじめに

電気電子工学コースでは、3年生からレポートを電子的に提出する。これまでの図の作成、グラフの作成を受けて、これらをレポートしてまとめる作業を説明する。今回の授業は、先にそれぞれの方法を説明し、後半で実際に演習をやってもらうことにする。

2. LaTeX によるレポート作成

2.1 節と副節

上に書かれた「LaTeXによるレポート作成」が節である。LaTeX では\sectionコマンドで記述する。また、その下の「節と副節」の部分は副節に相当し、\subsectionで記述する。まとめるとこんな感じになる。

\section{LaTeX によるレポート作成}
\subsection{節と副節}

2.2 図の貼り付けと参照

図を貼り付けるには、figure 環境を利用する。figure はフローティング環境と言われ、LaTeX が適切な場所に配置してくれる。PDF ファイルは \includegraphicsコマンドで挿入する。この時に[]で図のサイズを指定できる。また、後で説明する参照のために\labelコマンドでラベルを指定する。本コースでは、図のラベル名には fig: を付けるようにすること。

\begin{figure}[tbp]% 図の環境を開始 (top, bottom, page の順で配置を試みる)
 \centering% 環境をセンタリング
 \includegraphics[width=10cm]{graph1.pdf}% pdf を挿入
 \caption{作成されたグラフ}% キャプションを記述
 \label{fig:graph1}% 図のラベルを設定
\end{figure}% 図の環境を終了

レポートでは図を配置したら、必ず本文から参照しなければならない。 電気電子のスタイルファイルでは\wfigコマンドを利用する。この時、ラベル名は「fig:」を外したものを記載する。

\wfig{graph1} は gnuplot で作成されたグラフである。

2.3 表の貼り付けと参照

表も図と同様にフローティング環境であり、table 環境を利用する。図と異なり、\captionコマンドは表の上に付ける。また、表のラベルには「tab:」を付ける。

\begin{table}[tbp] % 表の環境を開始 (top, bottom, page の順で配置を試みる)
 \centering% 環境をセンタリング
 \caption{作成されたグラフ}% キャプションを記述
 \label{tab:魔法陣}% 図のラベルを設定
 \begin{tabular}{|c|c|c|}\hline
  2 & 9 & 4 \\ \hline
  6 & 1 & 8 \\ \hline
  7 & 5 & 3 \\ \hline
 \end{tabular}
\end{table}% 表の環境を終了

表の参照は\wtabコマンドを利用する。

\wtab{魔法陣}$3\times 3$の大きさの魔法陣である。

2.4 数式の記述と参照

数式の記述はすでに説明している equation 環境を利用する。もし、数式が複数行にまたがる場合には、最近は align 環境を利用する(以前は、eqnarray 環境がよく使われていた)。こんな感じで記述する。数式のラベルには「eq:」を付ける。番号を振りたくない行には \nonumber を記載する。

\begin{align}
   y &= \int\left(\int-g dt\right) dt \nonumber \\
   &= \int(-gt + C_1)dt \nonumber \\
   &= -\frac{1}{2}gt^2 + C_1t + C_2 \label{eq:自由落下運動}
\end{align}

数式の参照には\weqコマンドを利用する。

\weq{自由落下運動}は自由落下運動の微分方程式である。

3 Word によるレポート作成

LaTeX のスタイルファイル同様に Word のスタイルファイルも配布している。 Word のテンプレートファイルを開いたら、最初にスタイルウインドウを表示すること。

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スタイルウインドウ

3.1 節と副節

スタイルウインドウで「1 見出し、1, 章タイトル」という場所をクリックすると節が書ける。節番号や副節番号は LaTeX の場合と同様に自動的に設定される。

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節と副節

3.2 図番と図の参照

Word の場合、図の貼り付けは問題ないと思う。図を書いたら図の下に図番を記載する。これもスタイルウインドウから「図1 図タイトル」というものをクリックする。クリックするとこんな感じで図タイトルが設定される。図番も自動的にカウントされる。なお、図を入れ替えると図番は自動的に採番されるので気にする必要はない。

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図タイトル

図を本文から参照する場合には、以下の手順で実施する。

  • 参照設定リポンを開く
  • 相互参照をクリックする。

    f:id:hkob:20200526212304p:plain
    相互参照

  • 開いたウインドウで、「番号付きの項目」「段落番号」になっていることを確認した上で、該当する図番号を選択し、挿入とする。これで本文内に「図1」のような参照が入力される。

    f:id:hkob:20200526212358p:plain
    図番号の挿入

図の参照は便利なのだが、後から図の位置を変更した場合には、図番は自動的には更新されない。この時には、参照の上で右ボタンをクリックし、「フィールドの更新」を実行する(もしくはF9を押す)ことで番号を更新することができる。ただし、一つ一つやるのは面倒なので、通常はCtrl-A で文章全体を全て選択した後で、フィールドを更新とするらしい。

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フィールドの更新

3.2 表番と表の参照

これは「表1 表タイトル」を選ぶ以外は図と同じである。ここでは説明を省略する。

3.3 式の記述と式の参照

テンプレートの(1)式に空の数式欄を用意している。これを一番最初に Word の数式ギャラリーに登録する。最初にこの空の数式全体を選択する。

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数式の選択

次に挿入リポンを表示し、数式の右の「v」マークから「数式をギャラリーに保存」を実行する。

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数式をギャラリーに保存

数式を参照する場合には、数式番号にブックマークを貼ることで実現する。数式を選び、挿入リポンのブックマークをクリックして、ブックマーク名を記載する。

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ブックマークの追加

式の参照を追加するには、相互参照で参照する項目でブックマークを選択し、ブックマーク文字列を挿入する。こちらも後から式番がずれた場合には、フィールドの更新を実施する必要がある。

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ブックマーク(式番)の追加

これ以外の項目については授業中に説明する。

hkob.hatenablog.com