はじめに
Notion Tips の第107回目は行列を使って文字を整列する方法を解説します。
行列コマンド
線形代数で用いる行列は以下のようなコマンドで記述できます。& で要素間の区切り、\ で改行を意味します。描画結果をコードの下に示しました。以下ではコードとスクリーンショットを連続して掲載することにします。
\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \\ \end{pmatrix}
これを文字の整列に使いたいと思います。文字の成立に使うなら () は要りません。この時、環境は pmatrix
ではなく matrix
となります。
\begin{matrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \\ \end{matrix}
ここで 1, 2, 3, 4 の部分は数式なので、文字にしたければ、\textxx
系のコマンドで括る必要があります。全体を大きくしたいので、一番先頭に \large
コマンドを配置しています。
\large \begin{matrix} \textrm{RM} & \textbf{BF}\\ \textsf{SF} & \texttt{TT} \end{matrix}
文字揃えの変更
matrix
環境ではそれぞれの要素は中央揃えになります。せっかくなので上の文字に赤字にしてみました。前回の説明で \color
コマンドはデフォルトの色を変更すると書きました。ただし、その影響は {} 内に限られるため、下の GHI には影響していません。
\begin{matrix} \textrm{\color{red}ABCDEF}\\ \textbf{GHI} \end{matrix}
ここで中の文字を左寄せしたい場合には、matrix
ではなく matrix*
環境を使用します。後ろに [l]
を付けることで左寄せになります。比較しやすいように上と同じ文字にしました。
\begin{matrix*}[l] \textrm{\color{red}ABCDEF}\\ \textbf{GHI} \end{matrix*}
右寄せは [r]
にするだけです。
\begin{matrix*}[r] \textrm{\color{red}ABCDEF}\\ \textbf{GHI} \end{matrix*}
背景色との組み合わせ
昨日解説した背景色を設定する \colorbox
コマンドと組み合わせることもできます。ただし、この場合は注意が必要です。昨日解説したように \colorbox
の二つ目の引数は数式モードではなく、テキストモードになります。matrix
環境は数式モードでしか動作しないので、$ と $ で括ることで数式モードに戻します。一方、matrix
環境の中は数式モードなので、再度 \textxx
系のコマンドでテキストモードに変更します。このようにどちらのモードになっているのかは常に注意が必要です。
\colorbox{green}{ $ \begin{matrix*}[r] \textrm{\color{yellow}ABCDEF}\\ \textbf{\color{orange}GHI} \end{matrix*} $ }
CD環境
KaTeX には可換図を描くこともできます。ここでは PDCA の可換図を書いてみました。
\begin{CD} \textrm{Plan} @>>> \textrm{Do}\\ @AAA @VVV \\ \textrm{Action} @<<< \textrm{Check} \end{CD}
せっかくなので、ここに \colorbox
を組み合わせてみましょう。\colorbox
自体がテキストモードに変換してくれるので、\textrm
を書き換え、色を追加するだけでよいです。
\begin{CD} \colorbox{green}{Plan} @>>> \colorbox{yellow}{\color{black}Do}\\ @AAA @VVV \\ \colorbox{blue}{Action} @<<< \colorbox{red}{Check} \end{CD}
おわりに
KaTeX については単にコマンドを解説している記事が多いので、今回のようにコマンドを組み合わせる時に難しいと感じる人が多いようです。特にモードの切り替えはわかりにくいので、その辺りを解説してみました。