LaTeXiT について(教員のための Mac Tips:6)

背景

一昨日のポスター発表も無事に終わり、昨日から仕事でした。今回のポスター発表はホワイトボードに貼る形式だったので、横1.8m縦0.9mという特殊なものでした。このくらいの規模になると、GUI のアプリではレイアウトが面倒なので、やはり LaTeX で作成してしまいます。毎年同じ形式で中身しか変わらない自己申告書なども、面倒なのでスタイルファイルを作成してしまっており、学内の TeX 愛好家の方々に配布しています。

とはいえ、授業のレジュメ、定期試験など一回しか使わないものなどでは、Pages を使用しています。やはりレイアウトなどを自由にいじれるのは GUI のいいところですからね。ただし、この中に数式が現れた時にはやはりLaTeX の綺麗な数式を入れ込みたくなります。そこで活躍するのが LaTeXiT です。

基本的な使い方

MacTeX をインストールすると、/Applications/TeX フォルダに LaTeXiT というアプリが存在しています。起動すると、プレビューウインドウとテキストフィールドと各種設定ボタンが用意されています。テキストフィールドに数式を入力し、タイプセットとするだけでプレビューウインドウにタイプセットされた数式が表示されます。これを OmniGraffle、Pages'09 、Keynote'09 などにドラッグ&ドロップすればPDFになった画像がテキスト内に貼り付けられます。ここまで書いてから検証したのですが、Pages'13、Keynote'13 についてはこのドラッグ&ドロップの機能が動作しないことがわかりました。現在、LaTeXiT 2.6-beta がテストされており、ドラッグ&ドロップについては対処されたものの、後述のメタデータの情報が削除されてしまうようです。しばらくは iWork'09 を使い続けた方がよさそうです。

メタデータによるTeX書式の復元

作成された pdf データにはメタデータとして、元の TeX コマンドが記録されています。そのため、Keynote'09 などに貼り付けられた数式 pdf をコピーして、新規 LaTeXiT ウインドウに貼り付けを行うとメタデータTeX コマンドが復元します。前述の通り、Keynote'13 では貼り付け時にメタデータを削除するようになっているようで、この機能は使えませんでした。また、OmniGraffle も 6.0 では同様にメタデータの情報が削除されてしまっているようでした。OmniGraffle については、後述の linkback による仕組みがあるので、実質は困りませんが。

linkback を使ったアプリケーションリンク

LaTeXiT は linkback projectフレームワークを導入しており、同フレームワークを使ったアプリケーションとのデータ連携が行えるようになっています。我々に身近な linkback 対応アプリケーションとしては、OmniGraffle があります。

OmniGraffle に貼り付けられた数式 pdf をダブルクリックすると、自動的に LaTeXiT のウインドウが開きます。ここで、LaTeXiT の TeX 表記を修正し、タイプセットすると自動的に OmniGraffle 内の pdf も修正されます。OmniGraffle 内でコピーされたオブジェクトはすべて同じ LaTeXiT オブジェクトへのリンクになっているので、一つを変更すると全ての pdf が変更になります。例えば、当初横軸は n で書いていたけど、変数の都合で k に変更になったという場合は、一箇所の pdf で n を k に変更するだけで、全てのグラフの横軸が変更になります。

ただし、この機能が逆に面倒だと思うこともあります。例えば、H_0(z)、H_1(z)、…のように添字だけが異なるものを並べたい時などです。この場合は、OmniGraffle でコピーするのではなく、LaTeXiT から複数回ドラッグ&ドロップします。一度、LaTeXiT を閉じてしまった場合でも、pdf をダブルクリックしてリンクバックした後で、LaTeXiT の pdf プレビューから、ドラッグ&ドロップすればよいだけです。

linkback が便利すぎるので、前者のメタデータの削除問題はあまり気にならないかもしれません。おかげで原稿ごとに作成される OmbiGraffle 書類の中は、使う使わないにかかわらず、原稿に使った LaTeXiT 数式が溢れている状態です。