ファイルの移動・コピーについて(教員のための Mac Tips:5)

ドラッグ&ドロップによるファイルの移動・コピー

フォルダによるファイル管理は Apple Lisa の時代からありました。デスクトップメタファとしては、フォルダの方がわかりやすいからだと思います。UNIXMS-DOS では、ディレクトリと呼んでいますが、Windows もフォルダという表記になっていますし、多くの Linux ディストリビューションでもフォルダという表記になっているので、最近コンピュータを始めた人にはディレクトリという言葉は通じないかもしれませんね。

UNIXMac OS X のターミナルでは、mv や cp コマンドでフォルダ間の移動やコピーを行うことができますが、GUI の場合にはフォルダを表示してドラッグすることで移動・コピーが行われます。最も簡単な移動・コピーコマンドは移動前、移動後のフォルダを二つ表示してファイルをドラッグ&ドロップするものです。この作業は移動前・移動後のフォルダの位置によってやり方が変わります。

  • 移動前・移動後のフォルダが論理的に同じ媒体にある時
    • 移動: 単にドラッグ&ドロップ
    • コピー: ドラッグ中に Option キーを押してからドロップ
  • 移動前・移動後のフォルダが論理的に別の媒体にある時
    • 移動: ドラッグ中に Command キーを押してからドロップ
    • コピー: 単にドラッグ&ドロップ

わかりにくく感じますが、普段はあまり意識しなくて大丈夫です。これは、頻繁に行うであろうことが、デフォルトの動作(単にドラッグ&ドロップ)になっているからです。また、コピーに相当する時には、ドラッグ中のファイルに+のマークが付くため、意図せずコピーになっているなと思ったら、Command キーを押せばよいです。また、同一媒体で意図的にコピーしたいなと思ったら、+のマークが付いていないことに気づき、その場で Option を押すからです。

移動・コピーとは関係ありませんが、Command と Option を両方押しながらドロップすると、エイリアスが作成されます。エイリアスを作成してから移動するより便利なので、よく使います。

スプリングフォルダによる移動・コピー

ちょっとした移動・コピーのためにいちいち二つのフォルダを準備するのは面倒な時もあります。こんな時は、スプリングフォルダの機能を使うと楽に移動ができます。Mac OS 8 の時代にフォルダナビゲーションという名前で導入された機能です。Mac OS X 10.2 Jaguar で英語版と同じスプリングフォルダという名称になりました。
使い方ですが、移動したいファイルをドラッグしたまま、移動したいフォルダの上位のフォルダの上で一定期間静止するだけです。すると、フォルダが自動的に開きそのフォルダ内のファイルが一覧表示されます。さらに下の階層に移動したければ、再度そのフォルダ上で静止します。目的のフォルダが開いたら、ドロップ動作を行って移動またはコピーを行います。指示が終わると、経由して表示されてきたフォルダは何もなかったかのように自動的に閉じてしまい、元の画面に戻ります。たまにドラッグ中に途中のフォルダでファイルを落としてしまう事故がたまにありますが、そこからまた再度移動すればいいことなので、あまり気にはなりません。

コンテキストメニューを使った移動・コピー

Mac の Finder におけるコピーコマンドは、以前はファイル名に関するものでしかありませんでした。しかし、Windows では Explorer における切り取り(ctrl-x)、コピー(ctrl-c)、貼り付け(ctrl-v)によるファイルの移動・コピーができるようになっています。デスクトップメタファ的には ctrl-x の実装が微妙なところ(切り取り指示をしても、貼り付けされるまではアイコンが薄暗くなるだけで実際に切り取られているわけではない)ですが、実際にはスプリングフォルダと同じように移動先を後から教えることができるという点で便利なものです。Mac OS X では、コピー(Command-C)とペースト(Command-V)によるファイルのコピーについては実装がされましたが、移動については従来通りのドラッグ&ドロップする方法しかありませんでした。

MavericksLion になりいよいよこの部分に手が入りました。コンテキストメニューでは出てこないのですが、ペースト時に Command - Option -V のように Option キーを一緒に押すことで移動動作になっています。クリップボードにコピーした後で、貼り付け時に移動ペーストすることで、クリップボードに貼り付けた前が削除されるというメタファになるので、デスクトップメタファ的にはやはり変な感じになりますが、要望に対する Apple の回答なのかもしれません。確かにコンテキストメニューに機能のタイトルは書きにくいかもしれませんね。