QuickLook とパス名のドラッグ&ドロップ(教員のための Mac Tips:2)

背景

前回の続きで、moodle に提出された課題評価についてです。前回は課題の評価法の効率化でしたが、今回は課題をチェックする部分になります。

電気電子で運用している moodle は今年度からバージョン 2 系列に上がりました。1.9 の頃は一つずつのファイルしかダウンロードできなかったため、ファイル添付ではなくオンラインテキストにコピーしてもらう形を取っていました。2.0 以降からはその課題に対する全ての提出物を一括ダウンロードすることができるようになったため、ローカルに保存されたファイルを確認すればよいことになります。やりたいのは評価ですから、閲覧さえできればよいわけです。そのために、これらのファイルを開いては閉じを繰り返すのは面倒です。ここで QuickLook が大活躍します。

ただし、QuickLook も万能ではないので QuickLook が閲覧できるファイル形式に変換する必要がある時もあります。数も多いですから、こんな時にはやはりシェルスクリプトが便利です。ネックなのは、moodle で書き出した書類のファイル名です。フォルダには課題のタイトルが付いているので、日本語で書かれています。このフォルダへのパスをキーボードから入力するのは面倒なので、パス名のドラッグ&ドロップを使います。

QuickLook

Wikipedia によると Mac OS X 10.5 Leopard からの機能だそうです。

Mac OS X v10.4以前のFinderにおいてもアイコンプレビューは可能であったが、Quick Lookではファイルをアプリケーションで開くことなく、半透明なウィンドウにその内容をほぼ完全な形で表示することができる。

使用方法は簡単で、Finder 上でスペースキーを押すだけです。これだけで選択したファイルの中身が閲覧できます。この状態で選択したファイルを切り替えれば、QuickLook ウインドウは切り替えたファイルの中身に切り替わります。Finder をリスト表示にしていれば、カーソルの上下で次々に閲覧したいファイルを切り替えることができることになります。

Lion になってからはアプリケーションを切り替えても、QuickLook ウインドウが消えなくなりました。また、Mavericks になってからは html ファイルのデフォルトエンコーディングutf-8 になったようで、moodle が出力するオンラインテキストの html ファイルが文字化けしないようになっています。

今回のネタには関係しませんが、Mail.app の添付ファイルも Cmd-y とタイプすることで QuickLook により閲覧できます。この機能は、メール本文に内容がなく詳細は添付ファイルでというお役所メールの流し読みには最適です。

パス名のドラッグ&ドロップ

Finder やアプリのタイトルバーにはフォルダ名や編集中のファイル名が表示されています。意外と知られていませんが、この部分は絶対パスとなっており、コマンドを押すとフォルダまたはファイルのパスが表示されます。アプリなどから最近開いたファイルのように開いてしまうと、どこのファイルを開いたのかわからない時がよくありますが、このようにすると保存してあるフォルダを見ることができます。また、フォルダの部分でポインタをリリースすると、そのフォルダを開くこともできます。
また、パス名の隣のフォルダやファイルのアイコンは、対応するフォルダやファイルを参照しており、ドラッグ&ドロップすることが可能です。ドラッグ先のアプリによって何が起こるかが変わりますが、ターミナルにドラッグした場合には、そのファイルやフォルダの絶対パス名がターミナル上に表示されます。この機能を使うことで、階層の深いフォルダや日本語のフォルダへの cd を楽に行うことができます。

具体的な使用方法

実際の moodle の採点方法を紹介します。

  • 学生には結果ファイルの拡張子に「.txt」を付けるように指示しています。結果ファイルの作成には以下のコマンドを実行させています。
./a.out > kekka.txt
  • グラフを描かせる課題では gnuplot を使い、postscript ファイルを作成させます。本当は pdf だと楽なのですが、センターに入っている gnuplot が pdf 出力に対応していませんでした。
  • 課題の確認はmoodle のマイページから行います。注意すべき課題がありますをクリックすると未評価のものを教えてくれるので、それをクリックします。
  • 電気電子の moodle では、姓の部分に学生番号を設定しているので、姓を昇順に並べ直します。また、邪魔なメールアドレスや画像などを非表示にします。
  • フィルタは要評定のみ、クイック評定モードとし、クラス全員が一度に評定できるように50人分表示します。
  • 課題を全部ダウンロードします。ダウンロードしたファイル名の先頭には姓名が付与されるため、Finder で名前順に並べると、moodle と同じ順に並びます。
  • グラフ提出の課題があった場合には、以下の手順で postscript ファイルを pdf に一括変換します。
  • ターミナルを立ち上げ、「c」「d 」「スペース」とタイプします。
  • ダウンロードしたフォルダを開き、タイトルバーのフォルダアイコンをターミナルにドラッグ&ドロップします。
  • リターンキーをタイプすると、シェルのカレントディレクトリが指定したフォルダに設定されます。
  • 以下のコマンドで postscript ファイルを pdf に変換します(要 ImagrMagick)。
for file in *.ps; do echo $file; convert $file $file.pdf; rm $file; done
  • 評価の準備ができたので、Finder でフォルダの一番下のファイルを選択し、スペースキーを押して QuickLook を起動します。
  • カーソルの上下でファイルを切り替えながら、最後の学生のフィードバックに書く項目を決めます。
  • Cmd-Tab を使ってSafariに切り替え、フィードバックを記入します。ほとんどはTips1 で書いたテキストクリッピングからのドラッグ&ドロップです。
  • Shift-Tab を押して、得点欄にフォーカスを移動し、得点を入力します。
  • Shift-Tab を二回押して最後の一人前の学生のフィードバック欄に移動します。
  • Cmd-Tab を使ってFinderに切り替え、QuickLook で評価を決めます。以下、この作業を一番最初の学生になるまで繰り返します。
  • 全部の学生の入力が終わったら、評価を確定します。

最後の学生から記入するのは、フィードバックテキスト→評価の順番で入力したいからです。また、クラスの人数にかかわらず終わりが見えるという利点もあります。

こんな感じで毎週課題評価を行っております。参考になるかはわかりませんが。