LaTeX 環境の構築(Windows) - BYOD PC のセッティング(6)

BYOD Windows customize

はじめに

電気電子工学コースでは、第三学年からレポートを電子提出する。コースとしては、LaTeX か Microsoft Word での執筆を推奨しており、それぞれのスタイルファイルを配布している。5年になって学会活動などをする場合には、LaTeX の方が便利なことが多い。そのため、情報処理IIの授業では LaTeX の学習を行う。ここでは、LaTeX のインストールおよび初期設定の方法を示す。なお、この設定では数GB単位のネットワークアクセスがあるので、データ量に制限がある携帯回線などでは実施しない方がよい。

インストール上する際の注意(4/9追記): ある学生が下記の手順でインストールしたところ、途中でファイルが見つからないというエラーになった。心当たりがあったので、ユーザ名を日本語の文字列からASCIIだけの名前にしてもらったところ、無事にインストールできたとのこと。UNIX 系のツールは日本語文字列やスペースが入ったフォルダなどで問題を起こすことがあるので、専用に別のユーザを作った方がよい。

  • インストールする際の注意2(4/21追記): ある学生が以下の手順で実施したところ、うまくインストールできなかったとのこと。一部の環境ではネットワークインストールがうまくいかないとのことなので、iso image を使ったインストールの方がよいかもしれない。また、ウイルスバスターなどのウイルス対策ソフトウェアが動作していると失敗する事象も報告されている。以下の手順でうまくいかない場合には、色々調べてみて欲しい。

  • あまりにネットワークインストールのトラブルが多いので、ISO イメージでのインストール方法に書き換えることにした。今からインストールするので、TeX Live 2020 となる。

  • インストール後のアップデートについて この記事を書いた時には TeX Live が 2019 だったが、その後 TeX Live 2020 に上がっている。そのためメッセージが一部異なる場合があるが、基本的に流れは同じはずである。すでに 2019 を入れてしまった人用にパッケージアップデートの方法を執筆するのでしばらく待って欲しい。

TeX Live のインストール

  • 本家のインストールページを開く。 Acquiring TeX Live as an ISO image - TeX Users Group
  • ページ内の「download from a nearby CTAN mirror」をクリックし、texlive.iso をダウンロードする。
  • ダウンロードフォルダにある「texlive.iso」というディスクイメージを開く。
  • この中の「install-tl-windows」というバッチファイルで右ボタンで「管理者として実行」を選択する。
    f:id:hkob:20200510195827p:plain
    install-tl-windows を管理者として実行
  • 実行をすると「Windows によって PC が保護されました」という警告画面が表示される。ここで、「詳細情報」のリンクをクリックする。
    f:id:hkob:20200404220253p:plain
    警告画面
  • インストーラが起動し、ここから実際にTex Live のインストールが始まる。用紙サイズが A4 になっていることを確認して、インストールをクリックする。
    f:id:hkob:20200404221322p:plain
    TeX Live インストーラ画面
  • こんな画面が出るのでひたすら待つ。
    f:id:hkob:20200404221534p:plain
    インストール中
  • 終了すると「TeX Live へようこそ」画面が表示されるので、「閉じる」をクリックする。
    f:id:hkob:20200405090056p:plain
    「TeX Live にようこそ」画面

TeX Live Manager によるアップデート

次に TeX Live のアップデートを行う。Windows メニューを開くと、「TeX Live Manager」が追加されているので、これを実行する。

f:id:hkob:20200405091421p:plain
TeX Live Manager
* 実行確認画面が出るので、「はい」をクリックする。
f:id:hkob:20200405092254p:plain
実行確認画面
* 次のような画面になる。
f:id:hkob:20200405092727p:plain
TeX Live Shell
* 「オプション」「用紙」「A4」でデフォルト用紙サイズを変更する。
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デフォルト用紙サイズの変更
* 最後にフォントの埋め込み設定を変更する。まず、PowerShell を管理者として実行した上で、kanji-config-updmap-sys コマンドを実行する。この例では Microsoft のフォントを埋め込む設定だが、IPA フォントを埋め込みたい場合には、「ms」の部分を「ipaex」にすればよい。

PS C:\Windows\system32> kanji-config-updmap-sys ms
Setting up ... ms for ja
Creating new config file c:/texlive/2020/texmf-config/web2c/updmap.cfg
updmap will read the following updmap.cfg files (in precedence order):
  c:/texlive/2020/texmf-config/web2c/updmap.cfg
  c:/texlive/2020/texmf-dist/web2c/updmap.cfg
updmap may write changes to the following updmap.cfg file:
  c:/texlive/2020/texmf-config/web2c/updmap.cfg
dvips output dir: "c:/texlive/2020/texmf-var/fonts/map/dvips/updmap"
pdftex output dir: "c:/texlive/2020/texmf-var/fonts/map/pdftex/updmap"
dvipdfmx output dir: "c:/texlive/2020/texmf-var/fonts/map/dvipdfmx/updmap"

updmap is creating new map files
using the following configuration:
  LW35 font names                  : URWkb (c:/texlive/2020/texmf-dist/web2c/updmap.cfg)
  prefer outlines                  : true (c:/texlive/2020/texmf-dist/web2c/updmap.cfg)
  texhash enabled                  : true
  download standard fonts (dvips)  : true (c:/texlive/2020/texmf-dist/web2c/updmap.cfg)
  download standard fonts (pdftex) : true (c:/texlive/2020/texmf-dist/web2c/updmap.cfg)
  jaEmbed replacement string       : ms (c:/texlive/2020/texmf-config/web2c/updmap.cfg)
  jaVariant replacement string     : <empty> (c:/texlive/2020/texmf-config/web2c/updmap.cfg)
  scEmbed replacement string       : arphic (c:/texlive/2020/texmf-dist/web2c/updmap.cfg)
  tcEmbed replacement string       : arphic (c:/texlive/2020/texmf-dist/web2c/updmap.cfg)
  koEmbed replacement string       : baekmuk (c:/texlive/2020/texmf-dist/web2c/updmap.cfg)
  create a mapfile for pxdvi       : false (default)

Scanning for LW35 support files  [  3 files]
Scanning for MixedMap entries    [ 45 files]
Scanning for KanjiMap entries    [ 11 files]
Scanning for Map entries         [297 files]

Generating output for dvipdfmx...
Generating output for ps2pk...
Generating output for dvips...
Generating output for pdftex...

Files generated:
  c:/texlive/2020/texmf-var/fonts/map/dvips/updmap:
       16037 2020-05-10 22:27:41 builtin35.map
       21511 2020-05-10 22:27:41 download35.map
     4592928 2020-05-10 22:27:41 psfonts_pk.map
     4858387 2020-05-10 22:27:41 psfonts_t1.map
     4852743 2020-05-10 22:27:41 ps2pk.map
     4858387 2020-05-10 22:27:41 psfonts.map = psfonts_t1.map
  c:/texlive/2020/texmf-var/fonts/map/pdftex/updmap:
     4852750 2020-05-10 22:27:42 pdftex_dl14.map
     4851085 2020-05-10 22:27:42 pdftex_ndl14.map
     4852750 2020-05-10 22:27:42 pdftex.map = pdftex_dl14.map
  c:/texlive/2020/texmf-var/fonts/map/dvipdfmx/updmap:
        9048 2020-05-10 22:27:40 kanjix.map

Transcript written on "c:/texlive/2020/texmf-var/web2c/updmap.log".
updmap: Updating ls-R files.

これらアプリの使い方は別の機会に説明する。 以上。

hkob.hatenablog.com