各種ツールの使い分け (学生向け) - Slack を用いたクラス運営 (1)

はじめに

すでに Classroom、moodle などが紹介されているのに、さらに Slack という別のツールまで出てきて混乱していると思う。 教員側としてもあまりいろいろなところに情報が分散することは望ましいことと考えていない。 ただ、学生と教員の垣根を下げつつ、学生の使い勝手の向上と教員の対応のしやすさを両立するツールとして、Slack が最適ではないかと考えた。 以下、簡単にこれらのツールとの付き合い方をまとめて見たいと思う。

各種ツールとの付き合い方

1. Classroom

Classroom は全クラスに設置されている。 このため、管理する教職員側からすると、一括で情報提供するのには優れている。 昨年度までは、教務学生係から保護者宛の重要なお知らせや教務室などからのお知らせが投げられる場所だった。 今回のコロナ対応対応に対して、学生に課題を投げるとなった時にここが活用されることになった。

ただし、Classroom は以下のデメリットがある。 1. 教員が20人しか登録できない。全員が登録されないため、教員に質問を直接返せない 1. 投げられた課題に質問したくてもテキスト文書しか書けない。「ここまで式を解いたのだが、この先がわからない」などといった質問を写真に撮って投稿するといった感じで質問ができない 1. 教員側にはデフォルトで全科目の質問が通知される。通知のカスタマイズはできるのだが、かなり面倒

特に2が致命的で、学生が気軽に質問する環境にはなっていない。そんなわけで教員から特別な指示がない限り、学生は閲覧だけしていればいいと思う。

2. moodle

moodle は電気電子工学コースが用意している LMS である。 現在は、一部教員が科目ごとにコースを設置しており、さらにクラスごとのコースもある。 基本的に電気電子工学コースの教員からのオフィシャルのお知らせ(一次情報)は、ここに掲示されるので必ず確認すること。 moodle にはフォーラム、投票、アンケートなどの仕組みがあり、科目によってはこれで議論をしたり、質問をしたりすることもある。 Classroom に比べ、写真なども投稿できるのでうまく活用してほしい。

moodle に関してはシステム的なデメリットはあまりない。ただ、本校の運営としての問題がある。 1. moodle は基本的に電気電子工学コースの教員しか使えないので、一般科目の質問ができない 1. フォーラム投稿は安全のため、デフォルトで30分通知がされない仕組みになっている。チェックを付けることで即座に通知をさせることができるのだが、リアルタイム性には欠ける 1. テキスト編集機能が高く様々な表現が可能なのだが、その分学生にとってはハードルが高い

こちらも 1 が致命的で、あくまで電気電子工学コースの教員とのやり取りに制限されてしまう。 高学年になると専門ばかりなのであまり問題にならないのだが、低学年では利用頻度が少なくなってしまっている。

3. Line

学生間でのやりとりはもっぱら Line だろう。学生にとっての使い勝手は一番なのだと思う。 学生同士ではうまく使ってほしいと思うが、以下のデメリットがあって教員への質疑応答には利用できないだろう。

  1. 学生がグループに教員を入れたくない。教員がいない場所も必要だよね。
  2. Line を嫌って絶対に使わない教員が一部にいる。私のことだ。
  3. 全ての話題が一括に来るので情報を検索しにくい
  4. 通知がうざい

4. Slack

昨年度 1 年間、自分のクラスで運用してみた。基本的にはチャットツールなので、リアルタイムなやりとりに特化している。 Slack の場合は通知が特殊で、他のツールと違って通知地獄に陥りにくい。 基本的にウォッチしているチャンネルの新規投稿は、アプリでは●がついてわかるようになっている。 ただし、メールなどへの通知は来ない。どうしても気付いて欲しい時には「@hkob」のようにメンションすることで、メールなどへのアクティブな通知が送られる。 また、投稿に対してスレッドで返信することが可能なのだが、その場合には基本的に通知はなく、アプリでも●などはつかない。 投稿には「○件の返信」などとなっているので、それをクリックすると返信内容(スレッド)が確認できる。 興味があるスレッドに投稿すると、そのスレッドは通知対象となる。逆に興味がなければ以降は通知が来ないので無視できる。 このあたりは言葉では説明しにくいので、実際に使ってもらえるとわかると思う。

また、ワークスペース内にはチャンネルという特別な話題ごとに異なる部屋が用意されている。 学生は自分が必要だと思うチャンネルだけに登録することで、不必要な情報を見ることがなくなる。 どうしても必要なチャンネルは自動的に登録されているし、教員からいきなりチャンネルに呼び出されることもある。 現在用意しているチャンネルの説明については、別の記事で紹介するので参考にしてほしい。

昨年度の使われ方の例を示しておく。

  1. ノートの写真を掲載し「ここまでやったけどわからないから教えて」などという投稿に対して、スレッドで他の学生がお助けをする。場合によっては教員も参加する。
  2. 病気などで出席停止の学生が出たときに、その週の板書やノートの写真を掲載してサポートしてあげる
  3. PC のセッティングなどでのトラブルを質問し、教員や学生がサポートする。原因がわかったものについては、「失敗データベース」のチャンネルに知識を蓄積する。
  4. 試験時間割が配布されたり、紙媒体などで課題が提出されたときに写真で共有する

いいことばかりを書いたが Slack も万能ではない。Slack のデメリットも示しておく。

  1. 無料プランなので直近の10000メッセージしか読めない。そのため、Slack は基本的にはリアルタイムのやりとりに特化し、重要な情報(一次情報)は Classroom や moodle に掲載する。
  2. チャンネルで情報が分断されるので、逆にどこに書かれたのか探すのが面倒である。また投稿をどこのチャンネルに投げていいか悩む。検索や多チャンネルへの共有で対応するしかない。

このように基本的に Slack はリアルタイムの情報を入手するためのツールである。 したがってここに書かれている情報は二次情報という意識でいて欲しい。 必ず一次情報にあたる癖は付けておこう。

とりあえずここまで。

hkob.hatenablog.com