LaTeX 環境の構築

Mac の環境構築についても書いて欲しいという依頼があったので,ちょっとまとめてみようと思います.最初は,LaTeX 環境の構築から.

pLaTeX のインストール

UNIX tool をたくさん MacPorts でインストールしているので,LaTeX も例外なく MacPorts でインストールしています(パッケージ名は pTeX).普通の人は奥村先生のページなどでバイナリパッケージをインストールするとよいのではないでしょうか.MacPorts なので,以下では /opt/local/bin にバイナリが入っているものとして話を進めます.その他のパッケージの方は,適宜読み替えてください.

なお,MacPorts では +utf8 オプションを付けてコンパイルしています.UTF-8 版にすることで,TeX のソースが Spotlight で検索可能となります.

TeXShop のインストール

TeXShopCocoa アプリなので,MacPorts ではなくTexShop の本家から取得しました.TeXShop は比較的更新が活発なので,アプリケーションの自動更新機能を使った方が便利だからです.

ただし,標準状態では EUC と ShiftJIS にしか対応していません.問題なのは Library/TeXShop/bin の下にあるスクリプトだけなので,以下の手順で UTF-8 に対応させます.

  1. TeXShop を立ち上げ,環境設定を表示します.
  2. 設定プロファイルにて,pTeX (EUC) を選択します.
  3. 書類タブのエンコーディングで「Unicode (UTF-8)」を選択します.
  4. 内部設定タグで以下の部分を修正します.
    1. パス設定の部分を /opt/local/bin に変更
    2. TeX + dvips + distiller の Tex スクリプトの最後の部分を ~/Library/TeXShop/bin/ptex2pdf-utf8 に変更
    3. 同じく Latex スクリプトの最後の部分を ~/Library/TeXShop/bin/platex2pdf-utf8 に変更
  5. 詳細タグの「保存時の処理」にて「UTF-8-MACUTF-8 に自動変換」にチェック
  6. 一度,TeXShop を終了します.
  7. ホームフォルダ内の「ライブラリ/TeXShop/bin」にある ptex2pdf-euc を ptex2pdf-utf8 にコピーします.また,platex2pdf-euc を platex2pdf-utf8 にコピーします.
  8. MacPorts で入れた pTeX のバイナリは /opt/local/bin にインストールされるため,上記の *-utf8 スクリプトの PATH に /opt/local/bin を入れておきます.

LaTeXiT のインストール

TeXShop 同様,LaTeXiT の本家から取得します.
こちらも同じように設定を変更します.

  1. 環境設定を開きます.
  2. プログラムのコマンドを latex+dvipdf に変更します
  3. LaTeX を /opt/local/bin/platex に変更します.
  4. dvipdf を /opt/local/bin/dvipdfmx に変更します.

makebb の作成

dvipdfmx を使うため,基本的に図は pdf を使用します.ただし,pdf は bounding box 情報が取得できないため,ebb コマンドで *.bb ファイルを作成します.以前,mediabb.sty を使っていた時期もありましたが,特定の環境でうまく働かなかったことがあって,bb ファイルを生成する手法に戻りました.

ターミナルで ebb を作ってもいいのですが,一般の Mac ユーザに使ってもらえるように Automator による bb ファイル生成システムを作りました(内部でシェルスクリプトを呼んでいるだけですが……).手順は以下の通りです.

  • Automator を立ち上げます.ワークフローを以下のようにつなげます(見にくいのでシェルスクリプトをここに転記しておきます)./opt/local/bin だけでなく /usr/local/bin も入れているのはこのまま人に使ってもらうことがたまにあるからです.

PATH=/opt/local/bin:/usr/local/bin:$PATH
for f in "$@"
do
    cd `/usr/bin/dirname $f`
    ebb `/usr/bin/basename $f`
done
  • アプリケーションとして保存します.私の場合は makebb という名前を付けました.
  • 次に Finder のツールバーに makebb を設置します.makebb をドラッグして適当な位置に配置するだけです.私の場合は,以下の図のように表示切り替えの隣に置いています.

これで作業は終了です.Finder を開き,bb ファイルを生成したい pdf や png 画像を選択し(複数選択可),makebb のアイコンをクリックするだけで,自動的に選択したファイルに対して ebb コマンドが実行されます.最初の一回目は Automator の起動に少し時間がかかりますが,2 回目以降は高速に処理できると思います.学生や OS9 の時代から Mac を使ってきた人には気に入って使ってもらっています.

P.S.
一度,環境設定してしまうとあまり見返したりしないため,いろいろと思い出しながら書いていたら時間がかかってしまいました.TeXShop もかなり version が上がっていて,環境設定で設定できる項目がかなり多くなっていますね.やっぱりエディタは vi の方がいろいろと便利なので,「外部エディタを使用」でしばらく試してみようかと思っていたりします.